例会トピックス 

あんず句会(藍生関西11月例会) 18周年
 (平成15年11月21日)
会場:曼陀羅山寂庵

主宰ご出句
雨あがりたる嵯峨菊を筆塚に
  返り咲く梅もさくらも寂庵に
  寂庵の紅葉の句座の十九年
  祷りつゝ学びつゝ濃き冬紅葉
  寂庵の紅葉拝さず母は発ちし
 
   

特選句
  朱の碗に天と書かれし紅葉かな 岩井久美恵



  雨音の雨に色づく草紅葉 いずみ 信
  亥子餅届けがてらに建仁寺 高橋ゆかり
  冬瓜のとんとこの世に置かれけり 田浦伊久子
  みづうみのいづこに墜ちし秋の蝶 滝川 直広
  散紅葉ふめば哀しき声のして 茶谷 幸子
  しろじろと月渉りけり冬菜畑 佐渡寿美恵
  寂庵へまつすぐ急ぐ冬紅葉 鳥井 月清
  柿紅葉いちまい拾ひ持ち帰る 藤平 寂信
  奈良町の三百年の家の柿 新田 久子
  陶工の墓山さくら紅葉濃し 森光 梅子
  とほくきて紅葉しぐれの昏れゆける 森光 梅子
  黄昏の大空紅葉吸ひつくす 伊藤 通子
  紅葉且つ散る西方のまぶしかり 出井 孝子
  山茶花の白のまぶしき月夜かな 篠田くみ子
  深く厚くくれなゐの闇冬紅葉 畳谷 智代
  十余年通ひし嵯峨の紅葉濃し 永井 孔雀
  淡海の夜は底響く紅葉かな 橋本  薫(石川)
  二上山や葛湯に夕日ひきよせて 米田多美子
  嵯峨菊や祝の着物えらみ決め 半田 里子
  冬麗の十八年といふ月日 長  晴子
  京女さみしくなれば時雨呼び 寺島 麻里
  兄とゐる紅葉降りくる木の椅子に 中村 昭子
  綿虫をすくふ両の手の暮色 三枝 桂子
  立冬の満月月下美人咲く 角谷 彩子
  空すこしひろげて暮るゝ花梨の実 曲子 治子
  はなからがんばらないつもりの枯野 梅田 昌孝
  冬もみぢ奈良へひと日の旅仕度 横山 笑子
  てのひらの一葉によべのしぐれの香 渋谷  澪
  もの思ふべしサフランに金の蘂 森田伊佐子
  母を呼ぶこゑのいくたび紅葉山 森田伊佐子
  寂庵やいくたび木の扉冬もみぢ 今井 わこ
  右ひと筋上り紅葉の正面に 安土八重野
  ひとひらの雪ひとひらの雲師弟 今井  豊
  かごめかごめかごのなかなるふゆうらら 植田 珠實
  立冬の音を小さく暮しけり 河辺 克美
  一歳の麒麟北山時雨かな 河辺 克美
  初紅葉こゑの届かぬところまで 水谷 紀子
  青空と紅葉の見ゆるそれでよし 妹尾 圭以
  鼕の音のやみたる後の月あかり 原 真理子
  法臘もやうやう三十紅葉燃ゆ 瀬戸内寂聴
  山寺の炉端ふるまふにごり酒 瀬戸内寂聴
  静かなる村光りつゝ紅葉す 印南 耀子
  石仏のくちびるを過ぐ時雨雲 越村  蔵

一重丸句
  枯蓮の人類亡ぶ日のごとく 岩井久美恵




  紅葉散る古本市に音たてて 井上美保子
  諳じる般若心経冬の草 氏野 光子
  傾ける家も紅葉も嵯峨野なる 半田 真理
  しぐるるや卆寿の媼かき抱き 藤平 寂信
  冬の日や重たき鴎海暮るる 伊藤 通子
  降る雨に紅葉の色の定まりぬ 水野 幸子
  嵯峨菊のいろの古代の記憶とも 水野 幸子
  永き旅なり見ゆるもの冬めきて 篠田くみ子
  枯蓮や水にささりし鳥のこゑ 畳谷 智代
  鴨川のさくら紅葉を遡り  田邉 閑雲
  畳屋にたたみの匂ひ冬紅葉 住田 千惠
  しぐるるや嵯峨野僧伽の微笑佛 長  晴子
  さくらもみぢひもじさいつかきえにけり 寺島 麻里
  寂庵や紅梅二輪返り咲き 中村 昭子
  持てるだけ持つて帰れと柿をもぎ 河村喜代子
  トロッコに乗らず水尾の柚子みつつ 曲子 治子
  あめつちに鳥のこゑ満つもみぢ満つ 宇高 徳子
  日射し痛かり水鳥をまぶしめば 宇高 徳子
  初紅葉母に下ろさぬこの草履 原槙 恭子
  兎うります白鳥はうりません 植田 珠實
  柿紅葉一枚蓋に適ひけり 宮永 麻子
  まんだら山紅葉まんだら日もすがら 瀬戸内寂聴
  冬帽子ひとつころがる辨財天 中川 恭子
     
     
     
     


記:寺島麻里 写真(c):億みき/長 晴子


戻る