例会トピックス 

あんず句会(藍生関西10月例会)  
 (15年10月17日)
会場:曼陀羅山寂庵

主宰ご出句
くまなしや堅田の後の月あかり
  布染めて吉岡五代後の月
  三井寺の観音堂に月の友
  みちのくのおん山後の月あかり
           最上川
白鳥来暗き紫紅の菊摘めば
 
   

特選句
  雫などふりはらひては月の原 植田 珠実

  十六夜や汽笛きこゆる家に棲み 中村 昭子
  むかご摘むほろほろほろと明日来る 植田 珠実
  髪剪つてしばらく歩く良夜かな 長  晴子
  十六夜の紙に滲みし鯛の鰭 今阪 雅子
  黒猫の三日戻らぬ月の暈 出井 孝子
  寂聴尼エイッと叫ぶや月現るゝ 億  みき
  うたねのいたるところに木の実落つ 今井  豊
  水浴に月降りて来ぬ明の盃 橋本  薫
  女手にひらかぬ扉返り花 今阪 雅子
  人形のこちらみてをる十三夜 宇高 徳子
  菊月の曼陀羅山に虹立てり  瀬戸内寂聴
  のうぜんの塀見返らず家出妻 瀬戸内寂聴
  鈴虫を梵音と聴く北の寺 瀬戸内寂聴

一重丸句
  嵐山に降り来る光走り蕎麦 今井 わこ





  無器用な男の手なり栗拾ふ 今井  豊
  竹薮の竹まばらなり後の月 太田 智子
  色鳥の飛び交ふこゑのひとしきり 宮田 泰子
  皮むきは婆の役目よ栗ごはん 佐渡寿美恵
  焼栗食む雲一つなき華頂山  中川 恭子
  あやとりを十指忘ぜず菊日和 出井 孝子
  森深々月晧々鹿啼けりけり 三枝 桂子
  旅果てのチャオプラヤ川夕月夜 中川 恭子
  食べても食べても葡萄行けども行けども夫 河辺 克美
  湧き水を汲みて小菊のひとかゝへ 水谷 紀子
  中空に雲の城ある良夜かな 森田伊佐子
  月一辺飛んで火の国母の国 曲子 治子
  人生に過去と未来と曼珠沙華 中野あきを
  黙したきときは黙さむ十三夜 印南 耀子
  手折るたび菊の力の匂い立つ 永田 圭子
  十三夜我この細き路地を知る 田中 櫻子
  後の月たがひをどこか怖れつつ 河辺 克美
  波音の月は流離に眺むべく 橋本  薫
  朝澄めりわたる小鳥の声かむり 渋谷  澪
  身ひとつに櫟ごしなる後の月 岡本 弘子
  栗飯の栗を残していただきぬ 安田 和子
  ふたかみをはなるる月の十三夜 長  晴子
  朝光は真水のひかり菊畑 畳谷 智代
  もう一度琴爪を指す名残月 小林 澄子
  栗飯があれば茸の飯あれば 斎藤 秋声
  とぼしびを数えしのちの露の山 畳谷 智代
  死なぬ気のして栗飯の炊き上る 原槙 恭子
  秋の扉を叩く絵の具屋洗濯屋 曲子 治子
  栗飯や別れの旅の夜の膳 瀬戸内寂聴
 


記:長晴子 写真(c):億みき・長晴子(コスモス)


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