例会トピックス 

あんず句会(藍生関西9月例会)  
 (15年9月19日)
会場:曼陀羅山寂庵

主宰ご出句
ひとり往けどこまでも往け曼珠沙華
  一遍七百十五回忌秋燕
  仲秋の寂庵の黄の蝶の昼
  秋海棠母の遺せし句を選み
  真珠庵まで水汲みにけふの月
 
  選・・・えら(み)

特選句
  月の畳もの言ふこともなきままに 植田 珠實



  秋燕やねぢがきれいにしまるとき たかぎちようこ
  仲秋や草に影置く松林 森田伊佐子
  ふたかみを翔ち秋燕風に乗る 三枝 桂子
  岩砕く濁流そこを鮎ゆくべし 大西 隆博
  露滋き祇王のこゑを嵯峨野かな 今井 わこ
  過去帳の三百年分月あかり 植田 珠實
  人に拾へぬ音あるといふ花芒 たかぎちようこ
  待宵の舞妓つまづく框かな 安土八重野
  枷となる鍵手に重き帰燕かな 金子 恵美
  リスボンの夕月古稀に遭ひしこと 瀬戸内寂聴
  秋海棠西行涅槃弘川寺 瀬戸内寂聴
  仲秋の月の冷気を封印す 水谷 紀子
  秋燕のいつせいに翔ち磯御殿  篠崎 康子
  雨粒にいざよふ月を東山 田邉 閑雲
  秋蝶を放つ杉戸を開きけり 曲子 治子
  仲秋やほのあたたかき莚巻く 内山 森野
  雨を切つても切つても秋のつばめかな 梅田 昌孝
  月光に折れし秋草壷にさす  畳谷 智代
  法師また水に散るさくらの葉 河村喜代子
  みほとりにひとのこゑなき良夜かな 篠田くみ子
  くちずさむあかいはなならまんじゆしやげ 梅田 昌孝
  秋海棠眼鏡汚るゝ学ばねば 出井 孝子
  寂庵を訪へば秋中の秋 米田多美子
  月光をかんばせに浴ぶ睡りの扉 河辺 克美

一重丸句
  一泊をして蝉時雨虫時雨 新田 久子



  朱墨屋の女主人と雨月の夜 植田 珠實
  お見舞として鈴虫を貸しくれし 小林 澄子
  月光のはなびら一枚ひろひたし 植田 珠實
  秋さやか廊下の奥に鏡立て 宇高 徳子
  月光の身からはなるることもなく 新田 久子
  秋燕誰のかなしみにも触れず 畳谷 智代
  古庭の蛇口のほとり秋海棠 川勝 洋子
  秋海棠母晩年を知らずして 松川 ふさ
  秋燕夢のつづきを忘れけり 今阪 雅子
  盆僧を送る千本十二坊 曲子 治子
  名月や祇園の露地(ろうじ)にひたと遭ふ 瀬戸内寂聴
  秘めて秘めてひめきれぬなり曼珠沙華 米田多美子
  仲秋や正面に座す桜島 篠崎 康子
  白き帆の沖に増えゆく厄日かな  永井 雪狼
  仲秋や嵯峨のこもれ日人力車 渋谷  澪
  足ぬらす月をさがして庭に出て 渋谷  澪
  二上山(ふたかみ)へ身を翻へす秋燕 長  晴子
  赤ん坊にこの世はまぶし秋つばめ 渋谷  澪


記:田邉閑雲 写真(c):億みき


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