藍生13周年記念句会

日時:11月9日(日)13時〜
会場:東條会館五階 曙の間


 前日の藍生賞等の贈賞式に続いて、同じ半蔵門東條会館にての句会。午前中九段下駅に集合しての吟行は、靖国神社、武道館付近、また千鳥が淵付近をそれぞれに廻った。都心とはいえ、日曜午前の道路はそれ程の往来がなく、ゆりの木などの大きな枯落葉の風に吹かれる音がよく聞こえた。(3句出句、3句選)

主宰句                                     

満月のひかり十月櫻かな
声あげて満月立冬一の酉
神無月風に傷つき月に傷つき

主宰特選句

火をつけて冬の匂ひの杉落葉 鳥井 月清
多くを語らず冬木にならむとす 田邊 文子
昼の灯の冬めく窓や大使館 木津川珠枝
大綿の吹き戻さるゝ舗道かな 森田 正実
冬ざれてゆくわがまなこまなぶたも 五十嵐秀彦
冬日いま趺坐する子規の机にも 柴田 綾子
白山茶花月の渡りし後の空 二階堂光江
はつ冬の小鷺が守る影法師 坂本 宮尾
落葉踏む亡骸なども踏みてゆく 伊藤 通子
月を待つ窓辺に冬の来ていたり 渋谷 澪
清潔なあかり三つ四つ冬立ちぬ 城下 洋二
誰もをらず綿虫かぎりなく流れ 鈴木 信幸
はつ冬の記念句会の端にゐる 太田 智子
東京は空気ふくらむやうに冬 浜崎 浜子
海上の道空の道鷹の道 大矢内生氣
さびしくはないが木の葉の降りやまぬ 門奈 明子
マフラー巻く千鳥ケ淵の昏きゆえ 水巻 令子
綿虫と思へば綿虫のやうな 今野志津子
寒菊を一本持ちて匂ひけり 栗島 弘
靖国の紺のつむぎの七五三  岩井 久美恵
友垣のなべて泣虫菊月夜 植村 やよひ
東京の冬満月の小さくて 石原 靖子
櫻紅葉ほどの遺影を享けとむる 岩谷 美津子
喧騒は水だと思ふ冬木立 北村 ひかる
あをあをと月満ち冬の来たりけり 篠田 くみ子

      記・写真:後藤洋



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