例会トピックス 

あんず句会 (藍生関西例会)  
(平成14年12月20日)
会場:曼陀羅山寂庵

主宰ご出句
深霜のこゑ父のこゑ母のこゑ
  短日や絵巻に拝す捨聖
  霜柱物ほしがらぬひとであり
  虎落笛姉きて坐る妹も
  弟と聴く虎落笛兄の家

特選句


 
  遺伝子の四十五億年日の短か 橋本  薫(石川)
  老人の欠伸いくたび虎落笛
藤平 寂信
  渡るたび人の失せゆく霜の橋 宇高 徳子
  寒雷の肝裏返る一打なり 畳谷 智代
  河豚の皮みな曖昧なことばかり 曲子 治子
  庭を見てけふの始まる霜深し 河辺 克美
  北摂にガラシャ病院もがり笛 井崎ユキ子
  生きてゆくただそれだけに着ぶくれて 金子 恵美
  短日や苗字忘れし人のきし 松井 新七
  虎落笛夫を忘れむ母を忘れむ 寺島 麻里
  アナーキーなひとねといはれ毛糸編む 植田 珠実
  眠りても眠り落ちてももがり笛 新田 久子
  封筒の内の空色霜日和 橋本  薫(石川)
  縫ひ付けし母の名札や虎落笛 田邉 閑雲
  夫のゐる空気に慣れし葱刻む 安土八重野

一重丸句

 
 

行く年の葱二三本摘みに出る 

宇高 徳子  
  南座にあそびてひとり年惜しむ 河村喜代子  
  いつもよりしづかでありぬ十二月 今井 わこ  
  みやこどり箸置に添ふ冬日かな 長  晴子  
  馬らみな眼をあけてをり霜の声 篠田くみ子  
  遠き日のかの十二月杵と臼 太田 智子  
  大年のツィードハット鷺の羽根 今井 わこ  
  叡山のややに傾く冬の月 藤平 寂信  
  霜の橋女行者と擦れ違ひ 安土八重野  
  掛時計止まる霜の夜すぎてゆく 宮永 麻子  
  極月の人ひとりづつ消える家 植田 珠実  
  踏み入りし嵯峨野寂庵日短か 太田 智子  
  短日や刈りて束ねし蘇鉄の葉 本郷 熊胆  


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