第6回まちづくりソフトウェア最前線研究会 「デジタルアーカイブと電子自治体」京都デジタルアーカイブ研究センター副所長 清水 宏一氏 |
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第6回まちづくりソフトウェア最前線研究会
平成14年2月19日
京都デジタルアーカイブ研究センター副所長
京都市産業観光局理事 清水 宏一 氏
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京都市職員として人事、教育委員会、同和問題等、教育関係に携わり、
情報化の担当となる。
京都の高度情報化をやる。他所の市と異なる企画を心がける。
イントラネット、デジタルアーカイブに絞る。
前者は行政業務支援、後者は日本文化遺伝子のデジタル保存である。
デジタルの特性を生かし、個人が秘匿している伝統資産を一般に公開できるようにする。
当初は文化をデータを「貯める」のが主目的だったが、予算獲得のためには「生かす」という切り口が必要となった。
1998年に京都デジタルアーカイブ推進機構の会長を京セラの稲盛氏に依頼し、副会長に京都市長が就任する。
稲盛氏は3年を目処に運営することを要請した。後継組織として京都デジタルアーカイブ研究センターを設立、推進機構解散後3年間設置し、2004年に解散予定。
アーカイブのコンテンツの例
二条城デジタルアーカイブ
デジタルデータの記録、レプリカの作成、控えデータの作成、商品化(他建造物の壁紙等)して売上金で二条城の修復・保存に廻す仕組みを打ち立てる。二条城は京都市の所有物であり、狩野探幽の著作権は切れているので、商売ネタに使える。これをビジネスモデルとして他の文化財の保存にお寺が利用することを祈っている。
二条城障壁画のVFZ画像、原画品質を完全保存。ルーブルも取り入れる。
伝統的デザインアーカイブ
京友禅柄等のデータベース、行灯や水着に使用。
京都写真アーカイブ
日時、場所のハッキリしている写真を集める。
伝統産業技術アーカイブ
伝統産業技術を動画、静止画、テキストで記録。
アーカイブはゴミも溜まるがノウハウも溜まるわけで、後者のご利益のほうが多い。
電子政府の課題、二つの価値ある情報のコントロール
知っている者が限られている情報(インサイダー情報)。
みんなが知っているから価値がある情報
商工会議所主導による情報インフラ整備
情報伝達手段の5つの逆転
携帯電話が固定電話を上回る。
パソコンの出荷がカラーテレビを上回る。
データ通信が音声通信を上回る。
DVDがビデオ・カセットを上回る。
ADSLがCATVをの利用者を上回る。
都道府県の空洞化へ拍車、自治体の役割の変化など、ITがもたらすものを重視すべきであり、インフラの敷設が重要なのではない。現在の自治体の電子化は現在業務の延長上で考えているのが間違い。
安さと速さ便利さが勝負の時代、行政の民営化が迫りつつある。
新しい電子化の時代は、電子情報を前提に事務を考えなければならない。
こういった時代にもっとも必要なのはセキュリィティが問題である。セキュリティ人材が一番必要。
儲かるデジタルアーカイブとは
極端に凄いもの(ブランドなど)
大量に継続的に売れるもの
付加価値が高いもの
他の用途への転用
著作権の問題
P2Pで著作権を守ろうとするのは労が多いだけ。著作権で儲けるには、良質を求める社会を築くことが必要。良い品物を入手するとき、人は金を払おうとするものである。
社会貢献が富を生むのであて、富を作るための仕組みを社会は作ってはならない。
今、必要なのは人材、ナレッジ、テクノロジー、アートを兼ねた人間が必要。
新しい時代のニューディール政策はアーカイブの作成に向けるのがいい。
1000日プロジェクト
ドッグイヤーに適応、長く続いた組織は組織維持に重点が移る、企業も資金提供しやすい、
人事交代の口実になる。
質疑:
京町屋の利用は?
提携してアーカイブにする予定である。京町屋はITに向いている。電波が通るので無線LANが町内会を結べる。鴨川の川辺で無線LANが通じるようになる。
携帯電話で情報が取れる仕組み、iモードによるバスロケを行った。自治体によるiモードの先駆例となった。
民博との関係?
アーカイブの元祖は民博。千里にできる民博もその流れの中にある。
頭脳の構造化ができる人材はどのくらい居ると考えるか?
アメリカの考えはドット(点と線)であるが、これに適応できることが肝心か。
組織の形態について?
組織は任意団体、税金からおいかけられるのは厭わしい、解散しやすい。公的援助が受けにくい、収支が不鮮明になりがちになるのが難点。スタッフは常勤5人、ボランティア研究者は30人程度出入り。
コンテンツの材料が京都ほどなかったら?
過去の積み重ねがあることが弱点になる場合もある。過去の蓄積にあぐらをかく危険がある。
最近は、何もないところへ行く観光も価値がある。
著作権の扱い?
現在の偏狭な著作権はデジタルデータ作成の障害になっている。
デジタルアーカイブの全国ネットのビジョン?
デファクト・スタンダードとして協議会が機能することを期待する。
グローバル化の動きは地域のストックを吸い出す力があるが、地域の蓄積増加に寄与できないのではないか?
公共財は金を儲ける道具ではない。地域の蓄積もNHKの蓄積もすべて公共財であり、それは解放され公共に寄与すべきである。デジタル化した文化財には相続税をかけず、国家財産としたらいいのではないか。現在の著作権の概念はアメリカ文化の概念であり、必ずしもグローバルな概念とは言えない。人類にいかに役にたったかがその人の価値である、と考える時代になるべきである。
東京にコンテンツは?
きれいなものだけがコンテンツとも言えないのではないか。人口過多の現実をネットに流したら。
バックアップの分散管理に逆行する動きがある。例えば都立図書館は、都全体で所蔵冊数の調整を考え始めている。
京都駅ビルの感想は?
京都タワーは、時間が立つととともに地域の思い出となった。京都駅ビルもそうなる。清水寺もそうだった。
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