記憶に残さなければならないスロットカーを見つけた!!

 60年代スロットレーシングブームが最高潮になったのは1965年だったと思う。当初は、メーカー製組み立てキットを素組みしたものがほとんどだったのが、その後クリヤーボディ&パイプシャーシ、そして、モーター巻き直しというハイレベルでの改造が中心となり、一部のマニアのホビーとなっていく。そして、1966年後半から急速にスロットレーシングは衰退の道を歩むこととなる。
 そんな中、スピード重視、見た目仕上がり軽視のレース参加車両が多い中、以前Mスピードライフ企画で紹介した「全輪サスペンション HONDA F1」のような本物志向のスロットカーもいくつか作られていた。
今回ご紹介するのは、その時代の後期1967年頃に製作された「1/24スケール ブラバム・フォード」である。
まるでディスプレィ用の1/24スケールのボシカ作品を見るような素晴らしいパイプフレーム。ステアリング機構とユニバーサル・ジョイントによるサスペンション可動機能を持つ精密さ。まさに芸術作品というべきスロットカーである。
モーターは、FT-36Dを搭載し、実際に走行可能だったという。クライマックス社のクリヤーボディであるブラバム・フォードの発売に合わせて製作したとのことであり、1967年製作だったのでは思われる。
もし、この素晴らしい作品を当時製作されたご本人がこの記事を見ておられましたら是非お連絡を頂ければ幸です。
 





 上のレポートは、当時ラジコン専門誌として人気だった「モデル・ジャーナル」誌に掲載されていた「1/24スケールスロットカー ブラバム・フォード」の記事である。記事内容は、あまりモータースポーツに精通していないと思われる記者さんが書いたレポートのように読み取れる。
この記事がいつ掲載されたのかは、正確には不明だが、文面からして1963年第1回日本グランプリから十数年ということからすると、1970年代後半頃のものではないかと想像する。また、ブラバム・フォードは、1966年10月8〜9日に富士スピードウェイで開催された「インディアナポリス・インターナショナル・チャンピオン・レース」通称「インディ・ジャパン」にM.アンドレッティが乗って出場したマシンである。(予選でトラブルを持ち、決勝進出はならなかったが・・・)
 
 製作者が参考にされたと言う当時の「CARグラフィック」誌やその他の当時の資料となったであろう雑誌が手元にあったので紹介したいと思う。
 上の段と中段は、「CAR グラフィック 1966/12」「AUTO SPORT 1966/11」のインディ・ジャパン特集、そして、一番下が「モデル・スピードライフ 1967/3」のクライマックス製1/24 ブラバム・フォードの製作記事である。
 
 長い歴史を誇るスロットレーシングの世界。現在のように道具やアクセサリー類が揃わない1960年代に、良くここまでの再現が可能だったとただただ驚きであり、歴史の中に埋もれてしまうのはなんとも悲しい。

 今回のブラバム・フォードを拝見させて頂き感じたのは、実車の世界でも昔のレースでは、シャパラルの自動変速、ハイウイング、そして、バキュームカー、さらに、シャドウなどのローハイトタイヤやタイレル6輪車など色々な特徴を持った車が走っていた。実に楽しい時代だった思う。スロットカーレースの世界ではというと、現在はメーカー製市販シャーシを使う事が義務付けられてるのがほとんどで、自作シャーシを製作する機会は少ない。
 ブラバム・フォードの300gという超重量級の車重では、とてもレースで勝利する車ではないかと思うが、昔の宮沢模型が発売したオール真鍮ロータス・フォードのリアル志向の延長上にこのブラバムがあるのではと想像する。

 当方もHPが続けられる限りこれからもこのようなスロットカー遺産を紹介し続けて行きたいと思う。
 


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Special thanks : T. S.

Modeling by Y.O.