ミラージュって何!? 「蜃気楼」。すなわち「ミラージュ」であります。 1965年、カルフォルニアの石油王“ジャック・ネザーカット”の依頼で作られたミラージュは、シェルビー・アメリカンとピーター・ブロックの手により作られたスペシャル2座席レーシングカーでありました。 ところでよく誤解されるのは、1967年にマニファクチャラーズ・チャンピオンシップに、イギリスのJW(ジョン・ワイヤー)オートモーティブの手でフォードGT40を改造し、シリーズ戦に臨んでスパ1000Kmレースに優勝した「ミラージュ」と同一視されてしまうのですが、ここで言う“ミラージュ”とは全くもって別物であります。 さて、“ミラージュ”の最大の特徴としては、その軽さにあるのではないでしょうか。「蜃気楼」のごとく軽いという意味でネーミングされたこの名前の通り、当時のマクラーレンM1Bが635Kgだったのに対して、ミラージュの車重はわずか544Kgでありました。それをトラコ・チューンのオールズモビル4000ccエンジン420bhp/6200rpmで引っ張り、馬力あたりの重量は、なんと1.29Kg/bhpという脅威的な数字を示していたのですから、レースでの活躍が大いに期待されていました。 TOP : Mirage was Jack Nethereutt's special machine that Shape it's by Pete Brock. Glass body covers all-aluminum structure underneath. The Mirage is a good example of what the FIA had in mind when it added Group 9 for "two-seater racers" in Appendix J's Category C for pure racing cars. |
ボディは当時のワンオフ・モデルとしては非常に珍しいファイバーグラス製で、最初からグレープ・レッドが着色してあり、一切塗装はされていません。また、シャーシーはオールアルミニウム製で、コロッティ製タイプ37ギヤ・ボックスと相俟って当時は、期待のレーシングカーとして注目を一心に集めていました。しかし、レース戦績は、1966年、CAN-AMシリーズ最終戦ラスベガス・グランプリにおいてスクーター・パトリックのドライブで出場するもスピンでリタイヤ、そして、ナッソースピードウィークでもトップ争いに加わる事は出来ず、これといった成績も残せないまま1967年CAN-AMシリーズ第2戦ブリッジハンプトンでは、ハイウイングを装着し参戦するも予選27位、決勝リタイヤでミラージュのレースはまさに“蜃気楼”のごとく終わりを告げたのでした。
TOP : The new Mirage's body by Peter Brock. |
TOP : It's MIRAGE GT of a 1/24 scale slot racing car by TESTOR Co.,Ltd. TOP : It had a sidewinder flame with FT-36D motor. 上の画像は、Dr.K氏所有の珍しい“ミラージュ”のスロットカーであります。 テスター社が作ったこのキットは、多分ミラージュとしは唯一のモデル化だったのではないかと思われます。 ボディは、クリヤーボディで当時のスタンダード的なキット内容で、マブチFT-36Dをサイドワインダー方式で使用しているところなどが時代を表しているように思います。 |