ヘアピン・サーカス
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「ヘアピン・サーカス」。皆さんはこの映画をご存知だろうか。
今から30年ほど前に公開された見崎清志氏主演の「カーレース・アクション映画」である。 スターレーサー“見崎清志”は、実際にこの映画の舞台ともなったアジアのモナコGPと言われる「マカオGP(1971年11月20―21日開催)」にワールドAC7で出場、見事総合3位に入りその実力をいかんなく発揮したのだった。 ちなみに、翌年の同じくマカオGP(ツーリングカー・セニアクラス)にもセリカ1600GTで出場した見崎氏は、日本人として初めてとなる優勝を飾っている。 ![]() TOP : Kiyoshi Misaki and his WOULD AC7 at MACAU in 1971. |
![]() ![]() ![]() 映画「ヘアピン・サーカス」紹介 ■スタッフ 原作・・・五木寛之 監督・・・西村 潔 音楽・・・菊池雅章 テクニカル・ディレクター・・・大坪善男 (原作者といい、音楽担当といい、まさに当時ノリに乗っていたスーパースターによる作品であったことがわかる。さらに、元チーム・トヨタの大坪善男氏が絡んでいるという凄さ!!) ■キャスト
■ものがたり マカオのグランプリ以来、島尾俊也の名はレース界から消えた。ライバルの三沢を事故死させてしまった心の傷が、島尾からレースに賭けるひたむきな情熱を奪ってしまった。それでもまだ島尾はハンドルを握っている。自動車教習所の個人指導員というのが今の職業だが、島尾の表情にはかつて見せていた躍動するような生彩はなく、既に青春を終えてしまった男の無気力さが色濃くあった。
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![]() 美樹の車体には7つの菊のマークが描かれている。それは美樹が挑発し、ヘアピン・カーブで撃墜したカモの数であった。 そして、島尾の忠告にもかかわらず、その数は7つから9つへと増えていった。 なぜか島尾の血が騒ぐ。ハイウェイ・レースにいのちを燃やしている美樹に、スピードの恐ろしさを教えてやらなければならない。危険な遊戯をやめさせなければならない。島尾は自ら挑発されようと夜の高速道路で待機していた。反抗的な生徒に身を持ってスピードの恐ろしさを教えるのだと島尾は自分に言い聞かせてはいたが、レーサーとしていのちを賭けた青春の血が騒いでいることには気づいていない。 美樹の車がやって来た。アキラ、ター坊、有山の車を護衛のように従えてカモを探してやって来た。島尾が挑発される。護衛の車を次々と脱落させて、美樹と島尾が漆黒のハイウェイを突っ走る。まるで愛に飢えた二匹の生きものが交尾しているように絡み合って走る。美樹は明らかにスピードに酔っていた。 島尾と知って喘いでいた。目前に迫るT字路レンガの壁。踊るようにすり抜けた島尾の後で、美樹の車は壁に激突し、跳ねて叩きつけられていた。 |