2007 GOODWOOD FESTIVAL OF SPEED 

 
 去る6月22-24日、イギリス南部、サセックス州グッドウッドという田舎町でGOODWOOD FESTIVAL OF SPEEDという世界最大級のモータースポーツの祭典が開催されました。
この世界的なイベントに、我らが鮒子田寛氏がトヨタモータースポーツより、トヨタ7で参加することとなりました。
そこで、くるま村取材班も鮒子田氏のマネージャー役をかって出て、3日間の密着取材をしてきました。

 このイベントでは古い車から現代F1カーまで、色々なレースカーがタイムトライアルを行います。
メインコースはヒルクライム・コースです。
 

  
 手前がピットからの誘導路。奥がヒルクライムの本コース。ここの他にラリーコースもありました。
さて、このイベントではコースを走る時以外は、どの車もパドックに展示されていて、そこで調整等を行っています。
来場者はパドックエリアを自由に見て歩く事が出来るので、歴史的な車たちを非常に近いところで見る事が出来ます。

 この写真は初日=金曜午後のパドックエリアです。奥に見える白いテントの下に車たちが居るのですが・・・
すごい人でしょう!これが金曜の午後です。普通、金曜の午後といえば仕事をしている方が圧倒的に多いはずですが、これを見ても、モータースポーツへの関心の高さがうかがえるかと思います。
また、キャンピングカー等で来場して、キャンピングカーやテントでアウトドアライフをしながらこのイベントを楽しんでいる人が沢山いました。

    
 メインゲートには11台の歴代レーシングマシンが展示されていました(上の画像)。

このイベントは、毎年各メーカーが持ち回りでメインスポンサーを担っているようで、今年は、モータースポーツに参戦して50周年となるトヨタがその役割を務めていました。なので、メイン展示もトヨタ車で、こうなりました(下の画像)。これは、毎年、メインスポンサーの車を宙吊り展示するのが慣わしらしく、トヨタの車も例外なく、思いっきり宙吊りです。

    

 さて、鮒子田氏のスケジュールは、3日間通して、走行が午前と午後の2回、その間にはTVのインタビューや雑誌の取材、またトヨタF1ブースやホスピタリティでのトークショーもあり、分刻みの予定となっていました。トークショーでは、サインや写真撮影に応じる等ファンサービスも欠かしません(下の画像)。

                            
 走行時刻が迫ってくると、アッセンブリーエリアに移動します。こちらでもTV取材があり、車と共にカメラの前に立ちます(下の画像)。ちなみに、こちらの取材はBSフジ様での放送予定ですが、詳しい日程はBSフジのホームページを見て下さい。

  

 さあ、待ちに待った走行時間です。この車は1969年 日本CAN-AMで優勝して以来、全く走行した事はなく、走るのも初めてなら、海外で走るのも初めてなのです。
   鮒子田氏に走行前の心境を聞いてみました。

 鮒子田「昔さんざん乗ってた車だからね、何の心配もないよ。メカニックもしっかり車を仕上げてくれた。この車はトヨタにとって大事な車だから、壊さないようにしないとね。でも直線だけは踏むよ!」

V8 5000ccエンジンの心地よい音を響かせて、トヨタ7が世界に初めて走行を披露しました。

 

 初走行を終えた感想を聞いてみました。

 鮒子田「車は絶好調!初めての走行だからコーナーはゆっくり、直線は踏んだよ。ココは危ないコーナーは1箇所だけだね。明日はもう少し踏んでみるか!明日は雨が降らなければ良いけどね? この車は雨の対策を一切してないからね。雨が降ると走れないんだよ。」

 結局、晴天での走行は、初日だけでした。2日目は小雨模様の中での走行。3日目には雨が本降りとなり、トヨタ7は全く走行出来ずに終わりました。

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=ドライバーズサロンにて=

 こちらは出番を待つドライバー達がくつろいでいる控え室のようなところです。
ここでは、あちらこちらで旧友との再会を皆さんが喜んでいるようでした。鮒子田氏も例外ではありませんでした。


右画像
エルフォード氏「ジム、俺の方がジャッキー・スチュワートより2Jでのドライビングは上手かったぞ!」
ジム・ホール氏「ほう、そうだったかな?!」
鮒子田氏「???」

左画像
エルフォード氏曰く「日本グランプリは、俺の方が速かったぞ!」
鮒子田氏曰く「いや俺の方がタイムは良かったはずだよ!」

 当時のチーム・トヨタのエースドライバーであった鮒子田氏は、スポット契約のヴィック・エルフォードと共にトヨタ7で'69日本グランプリに出場していた。そして、エルフォードのために、京都案内役もかってでていた(下の画像)。

     

 鮒子田氏の憧れのドライバーは、ご存知“スターリング・モス”。至福の一時だ(左画像)。
そして、中嶋二世(一貴氏)に良き先輩としてのアドバイスを送る鮒子田氏(右画像)。

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 =編集後記=

 イベント3日目はあいにくの大雨で、残念ながらトヨタ7の走行は中止となりましたが、歴代の名車たちの中で、トヨタ7は全く引けを取ってはいませんでした。当時、もしトヨタ7と鮒子田寛氏がCAN-AMに挑戦していたとしたら、きっと通用する車だったことでしょう。
グッドウッドで走行しているトヨタ7を見て、ふとそんな事を考えてしまいました。

 このイベントの盛り上がり具合は、日本には無いものでした。モータースポーツを取り巻く環境が全く違います。
日本ではモータースポーツ=暴走族というイメージを持たれる方もいて、なかなかファン層が拡がらない感じですが、ヨーロッパではモータースポーツが生活に溶け込んでいる感じがしました。
日本でも、こんな夢のようなイベントが普通に開催されるような世の中になってくれればと思います。

 前回の富士での走行テストからグッドウッド参加まで同行させていただき、鮒子田氏には言葉では言い表せないほどの感謝の気持ちで一杯です。

鮒子田氏は、ル・マンからグッドウッドに入り、ハードなスケジュールをこなして、ヒースロー空港を後にしました。

取材レポート 
田村吉幸 
 

END



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(C) Photographs, textreport by Yoshiyuki Tamura.

Special thanks Hiroshi Fushida & Toyota Motorsport.